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2014.10.03up!
展覧会・イベント

生誕140年-中澤弘光展―知られざる画家の軌跡(そごう美術館)

10/13(月・祝)まで、横浜のそごう美術館で開催されている「生誕140年-中澤弘光展―知られざる画家の軌跡」に行ってきました。

生誕140年-中澤弘光展―知られざる画家の軌跡(そごう美術館)

生誕140年-中澤弘光展―知られざる画家の軌跡(そごう美術館)

三重県立美術館で開催された際に、社長と展覧会開催に協力された中澤弘光の孫で版画家の、弦屋光溪さんが行った様子を以前にご紹介したので、展覧会の雰囲気はそちらをご覧いただくとよく分かると思います。
弊社Blog 生誕140年-中澤弘光展―知られざる画家の軌跡(三重県立美術館)
弦屋光溪Blog

個人的に気になった作品を3つご紹介したいと思います。

O-28「しげ子の顔」(大正末期/油彩)は、見下ろすように和装の女性の顔を大きく描いた作品で、目・鼻・口元に視線が集中するように、それ以外の部分は簡潔に描かれています。
特に潤いさえ感じさせる眼差しの鮮烈さが印象的です。

O-39「夜明け」(昭和21年/油彩)は暗い空を照らし始める朝陽の赤と、未だ暗いままの少女の背中とのコントラストが印象的な詩情豊かな作品でした。
図録ではかなり色が違っているので、是非実際に目にすると印象が全然異なると思います。

O-33「花下月影」(大正15年/油彩)は「山家集」などにも収められている西行法師の歌“願わくは 花の下にて 春死なむ そのきさらぎの 望月のころ”から着想を得て描かれた作品。
島々が浮かぶ瀬戸内海を背景に、羽衣(?)まとった女性たちが、横たわる女性に桜の花びらを散らしている姿は何とも幻想的であり、どこか頽廃的です。
何とも言えない紫を基調とした色彩から、夢と現実、生と死、光(月)と暗闇(海)、相対するものがそれぞれ侵食し、混じり合い、その境界を曖昧にしていく、混沌とした美しさを感じました。

他にも祖母の鎮魂を願って描かれた「おもいで」や、チラシにも使われている点描表現の「まひる」、印象派を思わせるやわらかな光が感じられる「海苔とる娘」など大作が多く出展されている見応え十分の展覧会でした!

 
展覧会に足を運んだ翌日、弦屋さんとお話する機会があり、作品解説に載っていないお話が聞けたので、少しご紹介したいと思います(^^

まず、舞妓(芸妓)像は時代ごとに変わっているので、是非見比べて欲しいとのこと。
私は時期まで見て比較してはいなかったので、今度もう一度見てきたいと思います!

O-12「習作」(明治45年/油彩)は、大正という元号が生まれた時(明治45年=大正元年)に描かれたものだそうで、画面右上にTaishoの文字が見えます。
そして手前にあるテーブル上の本は、全て与謝野晶子の著作で、描かれている女性も晶子なのではないかという話もあったそうです。
そう言われてみると似ているような気も?

O-30「裸体」(大正13年/油彩)はルーカス・クラナッハの影響を受けた作品だそうで、確かに構図、細身の体型の裸婦像はクラナッハを彷彿とさせます。
実際、中澤弘光自身がクラナッハの作品を見て、自身も細身の女性の方が好みである旨を記しているそうです。
こういう作品同士の繋がりを知るのは、作品鑑賞を豊かなものにしてくれますね(´∀`)

 
横地浜駅直結で行きやすい美術館だと思いますので、是非行ってみてくださいヽ(`Д´)ノ

written by Teru

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「生誕140年-中澤弘光展―知られざる画家の軌跡」(→公式サイト

会期2014年9月12日(金)~10月13日(月・祝)
開館時間10:00~20:00(入館は19:30まで)
そごう美術館
横浜駅東口 そごう横浜店6F