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美術作品

福井良之助 Fukui Ryonosuke

福井良之助

大正12年<1923>-昭和61年<1986> 東京都出身
洋画家、版画家。東京美術学校卒。舞妓の横顔や美しい心象風景を、特徴的なセピア色のマチエールで描いた叙情的な作品で知られています。油彩にも優れた作品を多く残していますが、その画業がより高く評価されているのは1955年から1967年頃までの約10年間に集中して制作された孔版画作品です。孔版とは謄写版、いわゆる“ガリ版”と呼ばれるもので、ヤスリ板の上に置いたロウひき原紙に鉄筆で描いて版を作る技法で、当時は学校などで配布するプリントなどを刷るものとして使われていました。福井は印刷業を営んでいた義兄からの依頼で制作したのをきっかけに、芸術表現の技法として顧みられることのなかった孔版技法の探求に邁進していきます。そして、あらゆる手法を用いてつくられた繊細緻密な原紙(版)を、幾重にも重ねて描かれたそれは、孔版画をまったく新たな表現方法として生まれ変わらせ、晩年に福井自身が、「当時のような孔版制作はできない」と漏らしていたように、多大な集中力と溢れるイマジネーション、それを支える体力が合致して生まれた前人未到の作品でした。

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